梅雨の時期やスコールなど、海外旅行で心配なのが“雨”です。
「雨が降ったらスーツケースの中身がビショビショになるんじゃないか…」と心配しておられる方も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、ハードケースとソフトケースのスーツケースで、雨が降る前後にできるスーツケースの雨対策のOK例とNG例をご紹介します。
スーツケースは防水ではない
スーツケースは大きく分けると、ABS樹脂やポリカーボネートといった素材を使ったハードタイプと、ナイロンなどの合成繊維を使用したソフトタイプの2タイプに分けることができます。
そして結論から言えば、ハードタイプとソフトタイプのどちらも防水ではありません。
「ハードタイプは水に強いんじゃ…」と思われるかもしれません。
実は、ボディ部分は水を通しませんが、ファスナーの部分は防水ではないので、雨に濡れると水が染み込んでいきます。
ファスナーではなくフレームタイプのものも、構造上、かみ合わせに若干の余裕をもたせているため、水はその隙間から入ってしまいます。
小雨程度では、中がびしょびしょになってしまうということはありませんが、スコールのような雨の中、“ハードタイプだから…“と心配せずに雨の中をスーツケースを引きながら歩いて、後で開けたら濡れていた、というトラブルも良く寄せられます。
「ソフトタイプは雨に弱い…」とよく言われます。
実は、布地の部分から水が染みてしまうことはほとんどありません。というのも、ソフトタイプは強度を出すためにナイロンなどの繊維にポリウレタン素材を重ね合わせて作られています。
ポリウレタン素材は水を通さないため、よほど使い込んだソフトタイプのスーツケースでない限り、布地からは水は染み込みません。
ただし、ファスナー部分からは水が染み込みますし、水気をとどめやすいので、雨に濡れた後の処理は、ハードタイプより面倒なのは確かです。
一昔前には、防水をアピールするスーツケースも販売されていましたが、現在ではハードタイプを含め、防水をセールスポイントにしている一般のスーツケースはほとんどありません。
基本的にはハードタイプかソフトタイプかに関わらず、スーツケースは“防水ではない”と覚えておきましょう。
しっかりと雨対策をしてあげることで、スーツケースが傷むのも防げるため、長く快適に使用することができます。
雨が降る前にできる対策
「海外旅行の予定なのに、天気予報が雨…」「スコールのある国へ旅行する…」という時には、事前の対策を取ると、中身が濡れてしまったり、スーツケースの調子が悪くなったりするのを防げます。
雨対策のOK例
- スーツケース用の雨カバーを用意する
スーツケースが傷つくのを防ぐためにカバーをつける方をよく見かけます。実は雨カバーも販売されています。
普段は折りたたんでコンパクトにしまっておけるので、スーツケースのポケットに常備しておくと、これだけでファスナー部分やかみ合わせの部分から水が染みてしまうのをほぼ防ぐ事ができます。
値段も500円前後で購入できるので、スーツケースが長持ちすると考えると高い買い物ではないでしょう。
雨対策のNG例
- 防水スプレーをかける
ソフトタイプのスーツケースを愛用する方がよくする雨対策。悪影響があるわけではないので、NGという訳ではありませんが、実はあまり意味がありません。
というのも布地部分からは、水があまり染みないからです。
逆に“防水スプレーしたから安心!”と勘違いしてしまうと、スーツケースの中が濡れてしまう原因になります。
急に雨が降り出した時の対処法
移動中に急に雨が降り出した時にはどうしたらいいのでしょうか?
できることはあまりありませんが、可能な限り雨による被害を減らすようにしましょう。
雨対策のOK例
まずは雨宿り
もし状況が許すなら、雨宿りがベストです。例えば、急に大雨が降るスコールは、たいてい30分もすれば止みます。
その間、近くのカフェなどでのんびりした時間を過ごすのも旅の楽しみかもしれません。
スコールの地域で雨の中動き回っているのは、たいてい外国人観光客です。“郷に入っては郷に従え”で、ゆったりと時間を過ごしましょう。
ただし、フライトがあったり、予約したレストラン、アクティビティがあったりすると、のんびり待っていられないこともあります。
ビニール袋をかける
どうしても雨の中スーツケースを引きながら移動しないといけない場合、ビニール袋をボディの上部にかけるようにしましょう。
水が一番染み込むのは、ハンドルがついているボディ上部のファスナー部分です。そこにビニール袋をかけるだけで、水が染みるのでかなり防ぐことができます。
雨対策のNG例
海外で雨の中移動する場合、以下の点に気をつけます。
水たまりや水かさが高いところは歩かない
海外の街中には、排水能力が低く、雨が降るとすぐに水が溢れてしまうようなところもあります。
スーツケースを引く際には、水たまりや水が溢れて水かさが高くなっているところは避けるようにしましょう。
ハードタイプのスーツケースであっても、構造上隙間があり、簡単に水が侵入してしまいます。大きな水たまりなどは、スーツケースを持ち上げて移動します。
舗装されていない所を歩かない
雨が降っている中、土や砂利の道を歩いてしまうと、細かい砂がキャスターの中に入り込んでしまい、著しく走行性能が下がることがあります。
一度入ってしまうと、分解しないとキレイに掃除できません。
修理に出せば当然お金もかかります。スーツケースが傷むのを防ぐために短い距離なら持ち上げて、長距離なら迷わずタクシーなどを活用しましょう。
雨が降った後のスーツケースのメンテナンス
スーツケースの雨対策は、雨に濡れてしまった後が一番重要です。
しっかりとメンテナンスしてあげないと、カビやサビの原因になります。
メンテナンスのOK例
3ステップでスーツケースをキレイにしましょう。
1.ボディとキャスターのクリーニング
そこまで汚れていなければ、タオルを濡らしてボディとキャスターを拭くだけで大丈夫です。
中まで水が染みてしまったり、汚れがひどい場合は、お風呂用の中性の洗剤を水で薄めて、スポンジやブラシを使いスーツケースの中・外・キャスターを洗って汚れを落としましょう。
2.乾燥
一度濡れてしまったスーツケースはしっかりと乾燥させます。この時にプルアップハンドルはしっかり引き出して、ポケット類はすべて開けて乾かさないと、サビやカビの原因になります。
3.収納
乾燥させた後、片付ける時にも中に乾燥剤を入れて、湿気対策をしっかりしましょう。ニオイが心配な場合は、アルコールタイプの除菌スプレーをかけておくと効果的です。
メンテナンスのNG例
- 潤滑スプレーをキャスターにかける
キャスターの性能を保つために、市販の潤滑スプレーをかける方がいます。ただし、スーツケースのキャスターに使用されているのは、粘度の高い“グリス”と呼ばれるタイプの潤滑油です。
そこにCRC5-56のような万能タイプの潤滑剤をかけてしまうと、浸透性と揮発性が高く、残っているグリスまで流れ出てしまう原因になります。
また万能潤滑剤はプラスチックやゴムを傷めてしまう可能性もあります。
そのため、潤滑剤を注油したい場合、グリスタイプのもの(スプレータイプもあり)をホームセンターなどで購入して使用しましょう。また使用する前には、キャスターについている砂やホコリをキレイに落とします。
雨の前と後でしっかり対策して、スーツケースを快適に長持ちさせよう
旅行中に雨に当たってしまうのは、避けられないこともあります。
ただし、雨の前と後でしっかり対策することで、スーツケースが傷むのを防いで、長持ちさせることができます。今回ご紹介した方法を参考にしながら、スーツケースをもっと快適に使えるようにしましょう。