海外旅行や海外出張で行ったことのない国に行く時に心配なのが、その国や地域の『治安』。
そこで今回は、海外渡航先の治安について、できるだけ詳しく実際的な情報を入手するための3つの確認方法をご紹介します。
1.外務省の『海外安全ホームページ』
まず1つ目が、日本の外務省が運営している海外安全ホームページ。
全世界の治安を4つのレベルに分類しています。色別なのでわかりやすいですね。
目的地を地図上でクリックしたり、検索欄から探すと、より詳細な現地の安全情報が確認できます。
例えば、2018年12月現在、メキシコを例にしてみると、一部の地域はレベル1「十分注意して下さい」~レベル3「渡航は止めてください(渡航中止勧告)」が出ていることがわかります。
それぞれの国別のデータのところにある「安全対策基礎データ」には、その国でこれまでに発生した邦人の関連した事件や事故などについて詳細が記載されているので、実際に現地についた時にどんなことに気をつければ良いのかがイメージしやすくなります。
(2)強窃盗
路上,タクシーやバス等の交通機関内,空港などにおいて,日本人がスリ,置き引き等の窃盗及び強盗の被害に遭っています。また,自動車運転中に,開放された窓から車内のものを盗まれる,あるいは,けん銃を突きつけられるなどして,車ごと奪われるといったカージャックも発生しています。メキシコにおいては,けん銃などの武器の携行には国防省の特別許可が必要ですが,銃の取得が比較的容易なため,多くの犯罪に銃器が使用されています。銃で強盗に脅された場合,絶対に抵抗しないでください。
2.日本ツアーオペレーター協会の『OTOA』
OTOAは一般財団法人 日本海外ツアーオペレーター協会が運営しているサイト。
「一般社団法人日本海外ツアーオペレーター協会」(OTOA=OVERSEAS TOUR OPERATORS ASSOCIATION of JAPAN)とは、海外を訪れる日本人旅行者の皆様を現地で実際にお世話したり、海外旅行を企画販売する全国の旅行会社から依頼を受け、その旅行先の手配を専門に行う旅行会社。言うなれば海外旅行の現地手配サービスの専門集団です。
現地ツアーオペレーターたちが情報を提供しているので、渡航先の国のこれまでのトラブル例や、現地ならでは罰則、注意すべき週間、治安の悪い地域、現地でのタブーなど、現地の生の情報が確認できるので役立ちます。
渡航先へ行く際に必要な予防接種に関する情報も提供しているので、旅の準備にお役立てください。
3.外務省の『たびレジ』&『オンライン在留届』
海外旅行や海外出張などで外国に滞在する人向けの外務省によるサービスである「たびレジ」&「オンライン在留届」
よく2種類のサービスで「どちらを使ったらいいかわからない…」という方もいますが、簡単にまとめると…
- 3ヶ月以内の滞在なら「たびレジ」
- 3ヶ月以上の滞在なら「オンライン在留届」
です。
*ちなみに3ヶ月以上外国に滞在する日本人は、在留届を提出することが法律で義務付けられています。
登録すると、
- 出発前から旅先の安全情報をメールで入手
- 旅行中も最新情報を入手
- 現地でトラブルに巻き込まれた時にも支援
といった手厚いサポートが受けられます。
治安の悪い国では、思いもよらないトラブルに巻き込まれることも多いので、短期間の旅行でも治安に不安のある国を訪れる時にはたびレジの登録を忘れずにするようにしましょう。
治安の良い国ランキングTOP10
オーストラリアに拠点を置くInstitute for Economics & Peaceという研究所は、毎年23項目を指標に各国の平和度指数をGPI(Global Peace Index)として公表しています。
2020年度に基づいたランキングをご紹介します。
治安の良い国から旅の目的地を決定するのも一つの方法かもしれません。
1位:アイスランド
北大西洋に浮かぶ島国で、火山と氷河があることから「火と氷の国」と呼ばれています。
9月から3月にかけてはオーロラ観測が楽しめるため、カナダと並んで日本人に人気の高い国です。
また世界最大の露天温泉ブルーラグーンも有名ですね。スキンケアや美肌効果が高いと言われており、観光客がとても多いです。
アイスランドの治安情報
アイスランドはここ数年ずっとGPIで不動の1位となっています。他の欧州諸国と比べても治安は良好であると言われています。
ただし、治安が良いといっても荷物の置き引きや深夜のひったくり事件などは報告されているため、注意した行動を取るようにしましょう。
2位:ニュージーランド
太平洋南西に位置するオセアニアの国であるニュージーランド。
ラグビーのニュージーランド代表が試合前に披露するハカでも話題になったため、ニュージーランドへの日本人旅行者は増加傾向にあります。
ニュージーランドでは人口一人あたり約6頭の羊がいる「羊の国」とも呼ばれています。
自然豊かなニュージーランドでは、活火山を有するトンガリロ国立公園や間欠泉が見られるロトルア、圧倒的な氷河が見られるマウントクックなど、大自然を堪能することができます。
ニュージーランドの治安情報
ニュージーランドは長期に渡り、治安上の大きな問題は置きていません。GPIでも徐々に順位を上げて現在は全世界で第2位にランクインしています。
ただし、全般的に飲酒に伴う傷害事件や窃盗事件の発生件数は少なくないため、「安全な国」と過信して用心を怠らないようにしましょう。
3位:ポルトガル
ヨーロッパ最西端の国であるポルトガル。
日本人にはヨーロッパの中では比較的知名度の低い国かもしれません。
ただし、大航海時代に栄華を極めた歴史を持ち、日本の西洋文化にも決して少なくない影響を与えた国で、現在でも首都にはジェロニモス修道院やベレンの塔などの世界遺産に指定されている建築物があり、当時のポルトガルの面影を楽しむことができます。
ポルトガルの治安情報
ポルトガルはヨーロッパの中でも治安は良いと言われており、大きな犯罪に巻き込まれる可能性は低いでしょう。
ただし、外国人観光客を狙ったスリや置き引きなどは大使館にも報告されているため、特にリスボンを観光する際には多額の現金を持ち歩かないようにしましょう。
4位:オーストラリア
音楽と芸術の国であるオーストリア。
特に首都のウィーンは音楽の都と呼ばれ、石畳を散歩するだけでもいろいろなところから楽器の音色が聞こえてきます。
またモーツァルトの出生地であるザルツブルクには、美しい中世の町並みが残されています。
オーストリアの治安情報
オーストリアでは現在危険情報は発令されておらず、ヨーロッパの中でも比較的治安の良い国と言われています。
しかし、スリや置き引きといった軽犯罪は頻繁に発生しているため、日本の感覚で行動するのは危険です。夜間の外出を控えたり、人通りの少ない場所を避けるといった対策を取るようにしましょう。
5位:デンマーク
「世界一幸福度の高い国」に何度も選ばれているデンマーク。
童話作家であるアンデルセンを生んだおとぎの国としても知られており、首都コペンハーゲンではカラフルな建物がずらりと並ぶニューハウンや世界最古と言われるテーマパークのチボリ公園などでメルヘンな世界を楽しめます。
またレゴ発祥の地であるビルンにはレゴランドがあり、レゴファンからは聖地として人気があります。
デンマークの安全情報
デンマークについては危険情報は出されていないため、安心して旅行を楽しめます。
ただし、他のヨーロッパの国々と同じく、観光客を狙ったスリや置き引きなどは頻繁に発生しているため、荷物や貴重品からは目を離さないようにしましょう。
6位:カナダ
壮大な大自然が堪能できるカナダ。
特に日本人にはイエローナイフのオーロラ鑑賞や、世界三大瀑布のナイアガラの滝鑑賞の人気が高いです。
カナダの治安情報
カナダは一般的に治安が良いと言われており、危険情報も出されていません。
しかし、米国と国境を接しているため銃の密輸が後を絶たず、銃器で脅す強盗などが発生しています。特に夜間は外出を控えたり、人通りの少ない道を避けたりすることで対策するようにしましょう。
7位:シンガポール
日本からも移住者の多いシンガポール。
世界でも有数の金融センターとして発展した都市国家です。
有名なマーライオンは“がっかりする観光スポット”として常に上位にランクインするなど不名誉な扱いを受けていますが、シンガポールは多民族国家のため街を散策すればそれぞれの文化を感じられるグルメや工芸品を楽しむことができます。
シンガポールの治安情報
シンガポールは比較的安全な国で危険情報も出されていません。
しかし観光客を狙ったスリや置き引きは頻繁に発生しているため、ホテルのロビーやカフェ、レストランなどで荷物から目を離さないようにしましょう。
また貴重品を同じポケットやバッグにまとめて持ち歩かないようにしましょう。
8位:チェコ
国土は日本の九州ほどと決して大きくありませんが12の世界遺産があるチェコ。
特にプラハではプラハ城をはじめとした中世の雰囲気がそのまま残っており、歴史を感じる建築物が見られます。
小さい国土で交通網を発達しているので観光するには便利な国です。
チェコの治安情報
治安が良く犯罪件数も減少傾向にあり、安全な旅行が楽しめます。
日本人で報告されている犯罪被害のトップはスリと置き引きです。海外旅行の際の鉄則とも言えますが、観光地(特にプラハ市内)や公共交通機関では荷物から目を離さず、多額の現金を持ち歩くのはやめましょう。
9位:日本
実は日本は昨年の11位から2ランクアップでトップ10にランクインできました。
日本国内でも多様な食文化や季節の変化を楽しむことができます。
日本の治安情報
犯罪発生率ではOECD諸国でもトップレベルに低く、どこでも安心して旅行を楽しめる。
ただし歓楽街など夜の外出ではボッタクリなどの被害に遭わないように注意しましょう。
10位:スイス
永世中立国として有名なスイス。世界保健機構(WHO)や国際オリンピック委員会(IOC)、国際サッカー連盟(FIFA)など、多くの国際機関の本部が設置されています。
国土の半分が山岳地帯のため、マッターホルンやモンブランといったアルプス山脈の名峰を一度は目にしたいという山好きの方は少なくありません。
また登山までしなくとも、スイスの山岳鉄道に乗れば、アルプス山脈の山々を間近に眺めることができます。
スイスの治安情報
スイスの治安は比較的良好と言われています。危険情報は出されていません。
しかし毎年窃盗被害に遭う日本人の方も少なくなく、特に空港や駅、レストランなどでスリや置き引き被害に遭わないように気をつけましょう。
治安の良くない海外では、行動の仕方にも注意を
治安の良くない国を訪れる場合には、特別な注意が必要です。
しっかり現地の情報を知っておくことで、トラブルを避けたり、万が一の時にも被害を最小限にできます。出発前には、今回ご紹介したサイトやサービスを利用して、治安の良くない国や地域の最新の情報を入手するようにしましょう。
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