バーマスのニューモデルとして新たに登場したヘリテージ/heritage。
これまでバーマスのスーツケースといえばプレステージシリーズが有名でしたが、どんな違いがあるのか、ヘリテージが買いなのかどうか、実際に購入してみたのでレビューしてみたいと思います。
ヘリテージの良いところ悪いところを包み隠さずご紹介するので、気になっている方は参考にしていただければ幸いです。
筆者:ジンベエ
趣味がスーツケース収集で、使用したスーツケースは70台以上。お役に立つ情報をお届けします。
バーマスのヘリテージとは?
バーマス/bermasは1919年に創業した100年以上の歴史を持つドイツの老舗鞄メーカーです。
ドイツで開催されたオリンピックでは、リモワを抑えて公式スーツケースに採用されるなど、ヨーロッパを中心に高い評価を得ています。
2008年からは、日本の鞄の聖地である兵庫県豊岡市で200年以上の歴史を持つ衣川産業がブランド取得しており、ドイツの質実剛健さと日本の繊細さの良いところ取りのようなブランドと言えるかもしれません。
バーマスのスーツケースは高級感はありつつも落ち着いた雰囲気のモデルが多く、日本ではビジネスパーソンを中心に高く評価されています。
バーマスのヘリテージとプレステージの違いとは?
ヘリテージの購入を考えている方だと、同じくバーマスのプレステージとの違いが気になっている方も多いと思います。
プレステージシリーズはバーマスの伝統ですからね。
ただ、結論から先にご紹介すれば、ヘリテージの方が“買い”です。
以下の表をご確認ください。
プレステージ2が現状エントリーモデル、プレステージ3がフラッグシップモデルになります。
シリーズ | プレステージ2 | ヘリテージ | プレステージ3 |
価格 | 27,500円 | 28,600円 | 38,500円 |
ボディ | PC+ | PC+ | PC+ |
キャスター | HINOMOTO | HINOMOTO Lisof |
HINOMOTO Lisof |
ストッパー | - | ◯ | ー |
*価格はLサイズの価格です。
表で比べるとわかりやすいですが、ヘリテージは大体プレステージ2と同じ価格帯です。
ですが、ヘリテージには1万円以上高いプレステージ3にも搭載されていないキャスターストッパーが全サイズ標準装備されています。
使ったことのある方はわかると思いますが、キャスターストッパーは1度使うと手放せなくなる神装備です。
電車や移動中など、ストッパーがあるだけで勝手に動き出さないので安心感が違います。
そして、目立ちませんが大きな違いがキャスターにあります。
プレステージ2にはPU素材の一般的なHINOMOTOキャスターが採用されているのに対して、ヘリテージには1万円以上高いプレステージ3と同じ最新のLisofという素材を使ったHINOMOTOサイレントランキャスターが搭載されています。
ちょっとマニアックな話なのですが、Lisofは日乃本さんが三菱マテリアルと共同開発した新素材で“加水分解”しないという特徴があります。
一般的なPU製キャスターは、早ければ2,3年で空気中の水分と結合して劣化し、ヒビ割れが起き出しますが、Lisofは加水分解による劣化が起きないため、キャスター寿命が大幅に向上しています。
つまりヘリテージならプレステージ2の価格に約1,000円プラスだけで、キャスターストッパー&最新のサイレントランキャスターの両方が手に入るという非常にコストパフォーマンスに優れたモデルなんです。
予算的に3万円台のプレステージ3でも問題なければどちらを選んでも構いませんが、2万円台のプレステージ2にするかヘリテージにするかで迷っている方は、迷わずヘリテージをおすすめします。
バーマスのヘリテージレビュー
では、実際にヘリテージの使い心地についてもレビューしてみたいと思います。
ヘリテージの外装レビュー
まずは、外装から…。
バーマスらしい落ち着いたリブデザインで、ビジネスからトラベルまでそつなくこなしくてくれます。
マットな質感でも高級感があって、引いて歩くのが楽しくなるスーツケースです。
ボディにはバーマスが採用しているPC+を使用。
PC+はポリカーボネートに弾力剤を加えた複合素材です。
ポリカーボネートは耐久性には優れていますが、一定以上の衝撃で割れてしまうことがあるのが大きな弱点でした。
PC+は弾力剤を合わせることでポリカーボネートの硬さに適度な柔らかさを加えてポリカーボネートの弱点を克服しているのが特徴です。
また、シボ加工がボディ表面に施されているので、スーツケースの使用では避けられない傷も目立ちにくいです。
ヘリテージの天板は、フラット仕様になっていて、セットアップバッグなんかを載せるのも安定感があります。
空港の待ち時間なんかに、ノートパソコンを開いてメール確認するのにちょっとした机代わりになります。
ヘリテージにはUSBポートが2口装備されています。
追記マイナーチェンジでUSBポートの一つはtype-Cへとアップデートされています。
また、ロックもダイヤル式になったので鍵の保管の手間がなくなりました。
スーツケース内側のポケットにモバイルバッテリーを接続しておくと、スマホやタブレット端末の充電も簡単にできます。
ただ、大きいサイズのスーツケースにはUSBポートは必要ないというのが正直な感想です。
というのも、空港でスーツケースを預けるのにモバイルバッテリーを取り出さなきゃいけないのですが、立てたまま上部のポケットにアクセスするのが面倒なので、結局あまりこの機能を使いません。
フロントポケットを搭載した機内持ち込みサイズだとあると便利な機能なんですが、今回の91Lサイズではほぼ使用機会がありません。
ヘリテージに搭載されているHINOMOTOのサイレントランキャスターは素晴らしいです。
すでに簡単にご紹介してありますが、三菱マテリアルと開発したLisofを使ったキャスターでとにかく静かです。
日乃本さんの調査によると…
- 一般のPUキャスター 74dB…掃除機と同程度
- HINOMOTOのPUキャスター 61.4dB…普通の会話と同程度
- サイレントラン 54.1dB…静かな事務所と同程度
*dBの音量イメージは筆者にて追記
だそうです。
たしかに、空港などフラットな床をサイレントランキャスターで引いてみると、ほとんど音が気にならないレベルです。
もともとPU素材のHINOMOTOキャスターも他のPUキャスターと比べると静粛性に優れていましたが、サイレントランキャスターはさらにもうワングレードアップしたような使用感です。
これで劣化もしにくいので、毎週使うようなヘビーユーザーから、年1回の海外旅行が楽しみといったライトユーザーまで幅広くおすすめしたいです。
そしてヘリテージの大きな魅力として、全サイズにキャスターストッパーが標準搭載されています。
プレステージの価格帯で、バーマスの品質とキャスターストッパーまで揃うのはかなり贅沢です。
手元でスイッチをON/OFFすると、キャスター部分のロックがかかる仕組みです。
ちょっとマニアックですが、このキャスターストッパーもHINOMOTO製となります。
ヘリテージの内装レビュー
次は内装を確認してみましょう。
まず、画像ではわかりにくいのですが、メインのファスナーにはYKK製のダブルファスナーが採用されています。
ファスナータイプのスーツケースは荷物をパンパンに入れて無理すると、ファスナーに負担がかかりますが、ダブルファスナーはエレメントがダブルコイルになっているため耐久性がアップしています。
何より安心のYKK製です。
ヘリテージは外装がとにかく豪華な分、内装に不満点が一つだけあります…。
ラウンドジップになっているのは左だけで、右側はXバンドのみです。
そのため、万が一空港でスーツケースを開けないといけない時などのためにも、衣類など見られると嫌なものは左側のラウンドジップのあるスペースに収納しましょう。
内装に使われている生地には細かいデザインが施されていて高級感があります。
恒例のメンテンスファスナーの中身のチェック。
*メンテンスファスナーの開閉は自己責任で…
白い部分がハンドルやキャリーバーを固定する部品で、ここがお粗末だと、使っているうちにすぐにガタつくようになります。
ヘリテージはしっかり土台となる樹脂パーツで固定されていて、見えないところにコストをかけています。
メンテンスファスナーの中がしっかりしているスーツケースは安心して使用できます。
まとめ
ヘリテージのレビューは以上です。
バーマスは耐久性を求めるビジネスパーソンからよく選ばれているメーカーですが、ヘリテージもスーツケースとしての品質がしっかりと磨き上げられている王道のようなスーツケースです。
そして機能性でもキャスターストッパーやUSB充電ポート、高性能キャスターを採用するなど、2万円台で購入できるスーツケースとしては非常にコストパフォーマンスに優れたモデルだと思います。
1万円台のリーズナブルなスーツケースからのステップアップや、リモワなどの超高級スーツケースを使っていた方のどちらも満足させられるおすすめスーツケースです。
バーマスヘリテージの口コミ評判
まだ比較的新しいモデルということで口コミ評判も少なめですが、楽天市場だけでも2020年11月9日現在で110件ほどの口コミ評判が集まっています。
平均レビュー評価は5点満点中4.63とかなり高いです。
簡単に他のユーザーの方の評判もご紹介したいと思います。
行きは片側に荷物、帰りはたくさんのお土産つめて重量ギリギリセーフでした。フレームタイプは、やっぱり使いやすい。
軽い! 機能的! カラー綺麗!
総合的にベスト
バーマスヘリテージの基本仕様
バーマス・ヘリテージは、ファスナータイプとフレームタイプの両方がラインナップされています。
各サイズや重量などの基本仕様は以下の通りです。
*モデル名をタップすると、Amazonの詳細画面が開きます。
モデル名 | 容量 | サイズ | 重量 | |
ファスナー | 48c | 37L | 35×54×25cm | 2.7kg |
58c | 54L | 45×64×25cm | 3.5kg | |
68c | 91L | 50×74×30cm | 4.4kg | |
フレーム | 61c | 64L | 46×69×27cm | 4.9kg |
66c | 88L | 50×74×31cm | 5.3kg |
ヘリテージはバーマスの中で最高のコスパ
バーマスのニュースタンダードとして登場したヘリテージ。
バーマスらしい高品質のスーツケース性能に加えて、便利な機能がプラスされている非常にコストパフォーマンスの高いモデルと言えるでしょう。
何より、マットな高級感のある雰囲気が持つ喜びを感じさせてくれる満足度の高いスーツケースです。
バーマスのプレステージが気になっている方は、今回のレビューが参考になれば幸いです。