シルクロードの起点であり、漢時代の“長安”という名前でもよく知られる西安。
古代の都であった西安には、多彩な食材とスパイスを使った独創的な料理が多く、日本では味わえない食文化が楽しめます。
旅行で来られた際には、ぜひ西安ならではの料理に舌鼓を打ちながら観光をお楽しみ下さい。
今回は特に西安の地元民がこよなく愛する料理やグルメスポットをガイドならではの地域密着でご紹介します。
西安のおすすめグルメ5選&地元民が通うスポット
西安は「麺のふるさと」とも呼ばれ、数日の旅行期間では食べ尽くせないなくらい麺料理の種類が豊富です。
またイスラム教を信仰してい少数民族が作る羊肉料理など、西安に来るだけで、様々な種類の料理が楽しめるのが特徴です。
中でもぜひ食べていただきたい西安ならではのグルメを厳選してご紹介します。
地元民がよく通うちょっとマニアックなグルメスポットも紹介するので、本場の味を楽しむのに参考にして下さい。
1.手打ち麺(手工面)
西安の麺食の歴史は古く、起源は周の時代までさかのぼります。
乾燥した平地が広がる西安の周りの土地では古くから良質の小麦が栽培されていて、地元の粉を使って職人が作る手打ち麺はコシがあって味わい深く絶品です。
基本は日本で言う”油麺”のような、スープなしでかき混ぜて食べるタイプの麺料理が多いです。
日本でうどんが好きな方でちょっとピリ辛な味付けが大丈夫なら、まず気に入ると思います。
香醋と自家製麺の入った器の上に、唐辛子の粉と刻んだネギをのせて、上から熱々に熱した油を流しかける”油泼面”というのがベーシックです。
油の熱で唐辛子とネギのいい香りがしてきて、酸味と辛味のバランスが食をそそります。
特におすすめのお店をご紹介します。
西安のおすすめグルメスポット:柳巷面
住所 | 新城区案板街18号 |
営業時間 | 10:30-20:30 |
西安でおいしい麺料理を食べたい方におすすめなのがコチラの柳巷面(liu xiang mian)。
小さな麺屋さんだったのですが、人気が出てリフォームを終え、店舗も広くなり行きやすくなりました。
場所がとてもわかりづらく、基本的に地元民ばかりです。
”易俗大剧院”という劇場の前の通りを20mほど歩いたところにあります。
取材しやすいように午後3時頃に行ったのに、まだ並んでいてすぐには座れませんでした。
見た目は具無し麺なのですが、しっかり麺の下に調味料と具が入っています。
しっかりかき混ぜて麺の白い色が消えて、調味料と絡まったら食べごろです。
メニューは超シンプルで、大盛り・小盛り、肉・野菜・麺の追加を選ぶスタイルです。
ボリュームはかなりあるので、他にも食べ歩く予定なら小盛り+好みのトッピングを選びましょう。
西安のおすすめグルメスポット:岐山臊子面
住所 | 陕西省西安市新城区钟楼商圈南长巷 |
営業時間 | 10:30-20:00 |
西安で外食しているとよく“岐山面,臊子面”という看板を見かけます。
実は岐山(qi shan)というのは西安から1時間くらいのところにある同じ陝西省の小さな町です。
ここの臊子面(saozi mian)というのが有名で、おいしい地元のお店はどこも手作りの香醋を使用しています。
筆者も一度本場を食べに行ったら、西安の臊子面に満足できなくなってしまい、西安に住む岐山出身の友人に頼んでおしえてもらったのがコチラの岐山臊子面のお店です。
*ごめんなさい、写真は最近ハマっている“手工拉条”というきしめんタイプの油麺です。
ここの臊子面は香醋の香りと唐辛子のバランスが絶妙で、さっぱりとした味のスープなのでぺろっといただけます。
通りは中国の昔ながらのままで、観光地化されていない西安本来の雰囲気が感じられます。
午後1時ごろになると、混んでいてかなり待つのでご注意を。
ビャンビャン麺(ビアン ビアン ミエン)は…
とにかく画数が多い漢字の看板が食堂にあれば、それがビャンビャン麺です。
字画は57画もあり、西安の子どもたちは覚え歌で小さい時から書き方を覚えます。
麺がベルトのように太いのが特徴で、茹でる直前に料理人が調理台に叩きつけながら一つ一つ伸ばしていきます。
熟練の技が必要で、麺を作る様子はガラス越しに見られるところが多いので、写真を撮っておくと旅の記念になりますよ。
西安名物としてかなり有名なので、よくいろいろな国の観光客の方からおすすめのスポットを訊かれるのですが、ごめんなさい、地元民はそんなに食べてない気が…(西安のすべての地区を知っているわけではないのでなんとも言えませんが…)。
筆者も3年ほど西安に滞在してまだ美味しくて紹介したくなるようなビアンビアン麺に遭遇してないので、もしこれから見つかったらご紹介します。
2.水餃子(饺子・ジアオズ)
西安といえば、餃子も有名です。
ただし、普通に餃子を頼むと、全て水餃子で焼餃子はないのでご注意を。
日本の定番の豚肉とニラの餃子以外にも、いろいろな味の餃子が楽しめるのが西安のいいところです。
個人的におすすめなのは羊肉餃子。
西安の回族はイスラム教を信仰しているので豚肉は食べず、牛肉と羊肉がメインになります。
彼らのお店で頼む羊肉餃子には、臭みもなくジューシーで独特のスパイスも効いていて日本では食べられない味です。
麺料理と同じで、小麦がおいしいので餃子の皮もおいしくなります。
西安で餃子を食べると日本の餃子がちょっと物足りなく感じるようになりますよ。
「15個、30個」のように個数で選ぶところと、「两(リアン)」という単位を使っているところもあります。リアンの場合だと、3リアンくらいが1人前です。
値段:20元くらい
餃子の名前の一例
- 韭菜大肉 …豚ニラ
- 莲菜大肉…豚レンコン
- 芹菜大肉…豚セロリ
- 茴香大肉…豚ウイキョウ
- 虾仁…エビ
西安のおすすめのグルメスポット:德发长饺子馆
住所 | 钟楼广场西大街3号2楼 |
営業時間 | 11:00-14:00 16:30-21:00 |
德发长饺子馆は西安でも5本の指に入る老舗の餃子屋さんです。
一人あたりの予算が70元くらいなので餃子を食べることを考えるとちょっと高めですが、鐘楼の真横にある抜群のロケーションと雰囲気のある建物もおすすめポイントの一つです。
ほうれん草を練り込んだ緑色の皮の餃子など、他のお店ではなかなか食べられない上品なスタイルの餃子が楽しめます。
餃子が出来上がるまでの間は、“凉菜”と呼ばれるいろいろな野菜の和え物をいただきましょう。
3.羊肉のパン粥(羊肉泡馍・ヤンロウ パオモー)
西安に旅行に来る中国人が必ず食べると言われているのが羊肉のパン粥。
羊肉をじっくりと煮た重厚な旨みのスープに春雨と中国式のちぎったパンを漬けていただきます。
すでにちぎってあるパンを買うこともできますが、自分で細かくちぎる事もできます。
(地元民いわく、細かくちぎって山の形にしておくとコックが「こいつは西安人だ!」と思って丁寧に作ってくれるとか…)
とにかく、美味しくいただくにはしっかりとスープを吸ってくれるようにできる限り小さくちぎるのがコツです。
いわゆる羊臭さはほとんどなく食べやすいですが、羊肉が苦手な方は牛肉のパン粥も選べます。
サイドメニューでにんにくの酢漬けが出てくるので、パン粥をいただきながら間に挟むと、最後まですっきりおいしく食べられます。
値段:30元くらい
西安のおすすめのグルメスポット:刘信牛羊肉泡馍
住所 | 莲湖区酒金桥129号 |
営業時間 | 09:00-21:00 |
回民街にはいくらでも羊肉のパン粥を出すところがありますが、こちらは回民街の地元の人達がお昼に食べに来る料理屋です。(実は地元民は回民街のほとんどのお店には行きません…)
見た目の派手さもなく、お店も大きくはありませんが、味は西安人も唸るほどおいしいです。
一階で注文して札をもらって2階でいただきましょう。
お昼の時間帯には地元民でかなり混雑するので待ち時間も長いですが、それだけの価値があります。
夏の暑い日には、トマト風味の“小炒”もおすすめです。
4.中国式ハンバーガー(肉夹馍ロウ ジア モー)
馍(モー)と呼ばれる中国式のパンに、煮込んだ豚肉や羊肉を刻んで煮込み汁と一緒に挟んでいただくのが中国式ハンバーガー肉夹馍です。
片手で持ち歩けるので、観光しながらちょっと小腹が空いた時にいただくのにおすすめです。
おすすめなのは、バンズの表面のパリパリとした(中国語ではcui cuiと言います)食感が楽しめる“老潼关”タイプの肉夹馍です。
街中のどこでも見かけるので、小腹が空いた時にぜひ。
価格:8元くらい
5. 涼皮(凉皮・リアン ピー)
涼皮は陝西省の関中地区で作られた麺料理です。
麺をつくる工程に手間がかかるのが特徴です。
麺の生地を作り一日寝かせたら、水の中にもう一度生地を漬けて揉み込みます。
小麦粉が生地から溶けてくるので水を何度か交換しながら、最後に1時間ほど水に漬けて沈殿したものを丁寧にすくい取って蒸してできたものが麺になります。
素材は小麦粉ですが、食感はこんにゃく麺のようにプリプリしていて、自家製のラー油と香醋と絡めていただきます。
麺の作り方が複雑なため、お店によっても食感や味わいが異なり、食べ比べても楽しいです。
上の中国式ハンバーガーと、冰峰というファンタオレンジのような炭酸飲料、涼皮の3点セットが西安の若者のお決まりのファストフードです。
価格:10元くらい
西安のおすすめグルメスポット:魏家凉皮
実は魏家凉皮(weijia liangpi)は西安のファーストフードチェーンで、街中ならすぐに見つけられます。
「なぜおすすめグルメスポット紹介でチェーン店?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ここの“秘制凉皮”が絶品なんです。
時々無性に食べたくなる味で、冗談で「なにか怪しいものが入っているんじゃ…」なんて現地の友人と話すほどです。
ただし、超辛いので、辛いのが苦手な方はゴマペーストの“麻酱凉皮”をおすすめします。
西安料理以外のおすすめグルメスポット
西安料理ではないものの、西安に観光に来られる方にぜひおすすめしたい中華料理のお店をご紹介します。
きのこづくしの火鍋「珍菇源」
住所 | 陕西省西安市碑林区交大商业街区友谊东路38号 |
営業時間 | 11:00-21:30 |
日本企業の顧客をたくさん持つ貿易関連の企業に勤める友人から紹介してもらったお店です。
彼いわく「日本人への接待で一番喜ばれるのはココ」らしいです。
実際筆者も何度も行っているのですが、たしかにおいしい!
日本人の口に合います。西安の辛い料理に胃が疲れてきたらコチラで癒やしましょう。
見たこともないたくさんの種類のきのこを火鍋でグツグツ煮ていただきます。
スープの味付けもきのこの味わいを楽しめるようにあっさりとしていて、胃にも優しいです。
そしてすべてのきのこを食べ終わった後に飲む出汁の出たスープが絶品です。
松茸酒なんていうちょっとレアなお酒もあるのでぜひお試しください。
スープには香辛料などがはいっていないので、辛いものが苦手な方・きのこ好きの方にぜひおすすめしたいグルメスポットです。
価格:100元くらい/人
ここなら焼き餃子が食べられる「秦州锅贴馆」
住所 | 陕西省西安市碑林区建国路38号 |
営業時間 | 10:00-22:00 |
西安の水餃子も美味しいのですが、筆者は餃子は焼き派です。
中国で焼き餃子に一番近いのが“锅贴”と呼ばれる鉄板餃子です。
日本で棒餃子なんて名前で提供されることもあります。
西安にも锅贴屋さんがだいたい10店舗前後あります。
餃子好きなので食べ比べてみましたが、一番おいしかったのがこの“秦州锅贴馆”です。
20人くらいで満席になってしまう小さなお店ですが、古くから続く老舗です。
ここの豚ニラ锅贴は、パリッとした皮にジューシーな餡で、最高です。
ちょっと場所がわかりにくいのですが、細い路地の入り口の角に“秦州锅贴馆”と書かれた看板があるので目印にしてください。
価格:20元くらい
グルメ三昧!西安料理を楽しもう
昔の都である西安は食文化がとても豊かです。
今回の記事を参考にしながら、西安ならではの料理を楽しんでいただければ幸いです。