中国と言えば、一つ思いつくのが空気汚染の問題。ひと昔前には、大気汚染でスモッグにおおわれた中国の街の様子がテレビでよく報道されていました。
pm2.5という言葉も日常的に聞かれるようになった今、中国の大気汚染の状況はどうなっているのでしょうか。
旅行や仕事で上海を訪れる予定がある方なら、最近の上海の大気汚染レベルについても、きっと気になっておられることと思います。
そこで、最近の上海の空気汚染の状況や年間データ、対策方法などについて、ここで紹介いたします。
上海在住、貿易会社勤務の会社員。中国6年、海外生活16年で培ったライフハックをご紹介します。
上海の大気汚染レベルは日本の1970年代と同程度
日本でもひと昔前、大気汚染が深刻化し、健康被害や訴訟が多発した時代があったことをご存じの方もいるかもしれません。
実は今でも空気が悪い日の上海の大気汚染レベルは、その1970年代の日本と同じくらいと言われています。
中国の大気汚染がもっとも深刻だったのは、2013年から2015年頃。
呼吸器患者や重度のスモッグによって交通事故が増加するなどの問題が起きました。
その頃から中国全土で空気の質を改善する取り組みが本格的にスタート。
中国の公衆環境研究センターが2022年に発表した報告によると、そのおかげで今では上海の大気汚染の状況はかなり改善してきています。
とはいえ、残念ながら現在でも特に秋から冬にかけては、上海でも空気汚染がひどい日がみられます。
では、具体的に上海のPM2.5レベルはどの程度なのでしょうか?
上海市のPM2.5レベルについて
大気汚染が特にひどくなる、冬場の上海のPM2.5の履歴データを見てみましょう。こちらは2022年の1月から3月のデータとなっています。
オレンジ色の部分は 、PM2.5の濃度が35.5~55.4 ㎍/㎥、敏感な人に影響があるレベル。
赤色の部分は、PM2.5の濃度が55.5~150.4 ㎍/㎥、健康に悪影響があるとされるレベルです。
1月から3月のうち、ひと月の半分ほどがオレンジ色から赤色になっています。つまり、冬の時期の上海の大気汚染レベルは、半月が軽度汚染以上であることが分かります。
ちなみに日本の環境基準では、PM2.5濃度が35 ㎍/㎥以下が「人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準」とされています。
つまり、毎日吸っている空気の1か月のうち半分は健康に影響を与えるおそれがある、ということですから、やはり無視できない結果です。
冬に出張で上海に来られる方は、PM2.5に対応できるN95やDS2といった規格のマスクを持ってくることをおすすめします。
PM2.5とは
よく耳にする「PM2.5」。
PM2.5とは、簡単にいうと粒子の大きさのことを指しています。
粒子の物質が、直径10ミクロン以下のものを「PM10」、直径2.5ミクロン以下のものを「PM2.5」といいます。
この粒子の直径が小さくなればなるほど、肺の奥や血管へと侵入しやすくなり、ぜんそく・気管支炎、肺がんや心臓疾患などのリスクが高まります。
「PM2.5」は、直径が人の髪の毛の約40分の1以下のごく小さな微粒子なので、健康被害が起きやすいのです。
ですから、空気中にPM2.5がどれくらい含まれているかに注意し、それに応じて対処していくことが大切です。
上海の大気汚染対策に有効なマスク&空気清浄機
上海の大気汚染に対する対策としては、まずは、AQI(Air Quality Index)で大気質指数を確認しましょう。
大気質指数の数字が大きいと、汚染のレベルが高いということになります。
空気が悪いことが分かったら、なるべく外出を控えたり、窓を閉めて部屋の中にできるだけ外気が入らないようにするなどの対処をすることができます。
外出する際には、質の良い使い捨てマスクを使ったり、室内ではいつも空気清浄機を使用するなどの対策をしておくとより安心です。
上海の大気汚染:リアルタイム大気汚染指数やIQ Airなどから、大気質指数を確認できます。
上海のPM2.5対策にはN95又はDS2マスク!
PM2.5対策には何でもいいので、とにかくマスクをしていれば大丈夫というわけにはいきません。
大気中のPM2.5の粒子は細かいので、普通のマスクのように目が粗いと通過してしまい、呼吸器の奥深くまで入ってしまいます。
そのため、PM2.5対策には条件を満たした質の良いマスクが必須です!
では、PM2.5対策のための質の良いマスクとは、どんなマスクなのでしょうか?
それはN95マスク、あるいはDS2マスクといわれるものです。
N95はアメリカが定めた規格、DS2は日本の厚生労働省が定めた規格に適合したマスクで、どちらもPM2.5対策に対応しています。性能はほぼ同等です。
次にPM2.5対策の条件を満たしたDS2マスクにどんな商品があるのか、例をご紹介。
それぞれに特長があるので、自分に合ったものを選べます。
シゲマツ DD02-S2-2K
一つ目はDS2規格をクリアした、使い捨てマスク「シゲマツDD02-S2-2K」です。
「シゲマツ」は1917(大正6)年創業以来、防じんマスク、防毒マスクを専門としてきた信頼できる日本のメーカーなので安心。
- しめひもの長さはアジャスターで調整可能 →長時間の使用でも快適
- 鼻部内側のクッションと鼻当てで隙間なし →粒子の侵入をカット
- 金属部品を不使用 →ごみの分別が必要なく便利
- 二つ折りタイプ →コンパクトに収納できて備蓄に便利
3M 8805-DS2
二つ目は、こちらもDS2規格をクリアした使い捨て防じんマスク「3M 8805-DS2」です。
「3M」は アメリカに本社をおく世界的化学・電気素材メーカー、日本でも医療用品の分野でその品質が信頼されています。
- 装着しやすいカップ型 →呼吸しやすく、苦しくない
- ノーズクリップで鼻の形にぴったりフィット →粒子の侵入を防止
- のれん型排気弁が呼気の熱や湿気を排出 →ムレにくく、メガネの曇りも軽減
全ての部屋に空気清浄機を!
空気清浄機をリビングだけに置いている家も少なくないですが、大気汚染の影響を避けるためには、人がいる全ての部屋に空気清浄機を設置するのが基本です。
そうなると悩むのが日本で空気清浄機を買うか、中国で空気清浄機を買うかです。
中国と日本では電圧が異なるので、日本で購入した空気清浄機を使う場合には、必ず変圧器が必要になります。
メーカーや性能によって変わりますが、中国で空気清浄機の一般的な相場は1000元~3000元くらいです。
シャープなど日本メーカーの製品は日本の価格の1.5倍~2倍くらいの価格設定です。
会社持ちでどれくらい荷物を送れるのかで日本製になるか中国製になるか決まりそうです。
私はリビングは日本から持ってきたダイキン製の空気清浄機、寝室は中国製XIAOMIの1000元くらいの空気清浄機を使っています。
ダイキン MC55Z
ダイキン MC55Zは、高さ50センチ×幅27センチ×奥行27センチとコンパクトなので、受託手荷物として上海まで持っていくことが可能です。
またダイキン MC55Zは、特定の試験空間で0.1µm~2.5µmの粒子を99%除去する効果が確認されているのでPM2.5対策にも効果的。
さらに「ストリーマ」技術が、有害化学物質を分解、抑制してくれるので脱臭能力も期待できます。
除湿加湿機能がない空気清浄機能のみのシンプル構造なので、お手入れが簡単なのも嬉しいところですね。
BESTEK マルチ変圧器
日本と中国の電圧は違うので、全てではないですが日本から持って行った電化製品を上海で使うなら、基本的には変圧器が必要です。
数ある変圧器の中でも、多くの国で販売されているBESTEKの変圧器は、信頼性も高く、おすすめです。
BESTEKの変圧器の特長は、世界中どこへ行っても使えるマルチな変圧器であるところ。
90V~240Vの電圧に対応できるのに加え、変換プラグも付いてくるので、世界中どの電源にも合わせることが可能です。
大気汚染対策をしっかりして、快適上海ライフを!
いかがだったでしょうか。
中国、上海の大気汚染の問題は、一時期に比べて良くなってきているとはいえ、まだまだ改善の途中です。
大気質指数の情報をもとに、日々の空気の質を確認しておきましょう。
さらに最近では、PM2.5対策に特化したマスクや空気清浄機など、便利で質の良い商品も開発されてきています。
上手に使って自分や家族の健康を守りましょう。
しっかり大気汚染対策をしているなら、安心して快適な上海ライフを楽しめます!